青学高等部で開催された、矢野顕子さんのコンサートへ。
高等部に入ったのはほんと久しぶり。卒業した後、一回くらい来たような気もするけど、いつだったか忘れた。
数えてみたら、15年前かな、あそこに居たのは。
校舎には入れなかったけど、中庭とかでも充分懐かしかったね。心無しか、高校のときより狭く感じたけど。
で、高等部にはPS講堂っていう礼拝堂があって、そこの取り壊しにあたって、名残を惜しんでのコンサートだった。一般には発売されないチケットだったので、友達から口コミで聞いて、手に入れた。
矢野顕子さんも高等部出身で、1年半しか在校していなかったようだけど、軽音部在籍時にイベントで優勝したのが、音楽家として身を立てる決意をするきっかけになったのだそう。で、そのステージというのがPS講堂だったというわけ。
実は僕もPS講堂のステージでエレキベースを弾いた事がある。芝がボーカルのバンドで、ギターが研で。まあ、ビデオとかで見せられると抹消したくなる記憶だけど。
ステージで、矢野さんがピアノを弾いている、もうちょっと奥あたりに僕が立った事もあるんだなーと思うと、すごく不思議な感じがした。
東京はなんでも出来ては壊れ、というサイクルが早いけど、矢野さんが35年前にステージに上がって、15年前に僕も上がって、そして今僕がステージの下から矢野さんの音楽を聴いているっていう、なんか長ーいサイクルがとても大事な気がしたし、そこに自分の人生もちょっとだけ絡んでいるというのが、また愛おしいというか、ありがとう、という気持ちだった。
で、まあそんなのはさておき、このコンサートは自由席。開場してすぐ並んだだけあって、席は最前列、ピアノの真ん前。こないだの上原ひろみさんの時と全く同じポジション。
なんなの、この奇跡続きの席運は・・。あまりの幸運に、目眩すら覚える。だって、最前列なんて取れないもん、全然。
2年前に鎌倉であった矢野顕子さんのコンサートに行ったときは、20列目くらいだったか・・それも、けっこう横の方で。
ブルーノートで観たときも、まあ5列目?10列目?くらいじゃなかろうか。
あ、ちなみに矢野顕子さんは他に上原ひろみさんとの合同コンサートと、yanokamiと行っていて、今日で5回目だった。
で、やっとコンサートの感想なんだけど、ものすごーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく良かった。いや、ほんと良かった。
席のおかげもあるかもしれないけど、今まで観た矢野顕子さんのコンサートの中で一番良かった。
まず、選曲が心憎かった。
例えば、1曲目が大貫妙子さんの「横顔」で、2曲目が「GIRLFRIENDS FOREVER」。
「横顔」は「♪今は違う友達に囲まれ 私を憶えていないのね やっぱり 小さく呟いたさよなら 心に届くかしら 誰も知らないあの時の横顔 昔のあなた見失ってほしくないの」という歌詞なんだけど、なんか高校の時に好きだった人へのメッセージみたいな、ちょっと甘酸っぱい歌な訳ですよ。
2曲目の「GIRLFRIENDS〜」の方は、「♪男達はcome and go girlfriends いつまでも 今日を生きる事だけは 誰にも譲れない」という歌詞。観に来てる人は僕より年上の女性が多かったんだけど、やっぱり主婦が多いみたいで、並んでる時も子供の話がそこここで聞こえてたんだよね。あと、旦那さんの話とか。でも、矢野顕子さんは「♪結婚も離婚も赤ん坊よりも 大切な事がある 今日を生きる事だけは 誰にも譲れない」と歌ったもんだから、かなりガツンとやられた人も多いんじゃないかと思う。
あとは会場の一体感というか、基本的にみんな卒業生というのが、大きかったんじゃないかなあ。いろいろコンサートに行っているけど、開始と同時にあんなに何かを共有出来ているというか、バックグラウンドとして同じものを持ってる安心感というかね。
そういう空気がある会場は初めてだったかもしれない。
矢野さんはたまに歌詞を間違えたり、マイクに鼻をぶつけたりしてたけど、とても楽しそうに歌ってくれた。席が良かったおかげで、表情とかもとても良く見えた。
あと、高校の頃の話を中心にMCも多めだったな。相変わらず話もおもしろくて。
他に記憶に残ってるのは、「♪さっちゃんはねー さち子っていうんだ ほんとはねー」という、あの歌をやったんだけど、あれがほんと良かった。「バナナが大好き〜」ってとこはほんとに可愛らしく歌って、「遠くへ行っちゃう〜」ってとこは寂しそうに歌って、その降り幅をピアノが増幅してくれて、すごく豊かな音楽になっていた。感動。
それからPS講堂での矢野顕子さんのステージで、ベースを弾いていた森泰人さんという方が来ていた。この方は今でもベーシストとしてスウェーデンを中心に活動されているそうだけど(それもすごい話だ)、この方と矢野さんの競演が素晴らしかった。
その1曲だけ完全にジャズのインプロヴィゼーションの世界になっていて、もう二人の音楽での会話。矢野さんが探るようにピアノを弾くと、森さんがそれに応えてベースをかき鳴らす。やがてメロディが現れて、ボブディランのなんとかいう曲だったけど、それに矢野さんのハミングが乗って、とても美しい演奏だった。
この演奏には、僕をはじめ、思わず「ホー!」とか声を掛けている人も居た。
とまあそんな感じで2時間くらいのコンサートだった。最後は「ひとつだけ」だったかな。
矢野さんは比較的安定してコンサートもやってるし、ライブ版も沢山あるし、今日演奏した曲もほぼ全て聴いた事ある曲だけど、とてもいい席で聴けた事と、すごく空気感がいい会場で聴けた事がとても貴重な体験だったなあ、と思ってる。
また幸運がない限りは、3mくらいの距離で矢野顕子さんの歌を聴く事は一生できないだろうな。
もう年内で取っているチケットは無いので、多分今年最後のコンサートだと思う。
今年の締めにふさわしい、素晴らしいコンサートだった。
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